大腸がんと診断されたとき、多くの方が「どんな治療を受けるのだろう」と不安を感じるものです。治療法はがんの進行度や広がり方によって異なり、ステージという段階ごとに適した方法が選ばれます。
この記事では、大腸がんのステージ分類から、それぞれに応じた治療の進め方、回復に向けた流れまでを分かりやすく解説します。正しい知識を持つことで、今後の見通しが少しでもクリアになれば幸いです。
大腸がんのステージとは何か
大腸がんのステージは、がんの深さや広がりを示す指標で、治療方針を決めるうえで欠かせない情報です。0〜Ⅳの5段階があり、数字が大きいほど進行している状態を表します。
ステージ0は粘膜の表面にとどまる最も早期の段階、ステージⅠは大腸の壁にがんが入り始めた状態です。ステージⅡでは壁の深くまで広がりますが、リンパ節転移はみられません。ステージⅢになると周囲のリンパ節に広がり、ステージⅣでは肝臓や肺など遠くの臓器に転移した進行期となります。
ステージ判定は、内視鏡、CT、病理検査など複数の検査結果を組み合わせて行われます。がんの位置や大きさ、周囲への広がり方も加味されるため、同じステージでも治療の内容は個々に合わせて調整されます。医師はこれらの情報を基に、患者様の体調や希望に沿った治療計画を組み立てていきます。
早期ステージの治療方法
ステージ0の内視鏡治療
ステージ0では、がんが粘膜の表面にとどまっているため、内視鏡を使った切除で対応できる場合が多くあります。この方法は「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」や「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」と呼ばれ、内視鏡の先端の器具でがんを含む粘膜を切り取る治療です。開腹せずに済むため体への負担が少なく、多くの方が短い入院期間で日常生活に戻れます。
ステージⅠの手術治療
ステージⅠになると、がんが粘膜下層まで達しているため、内視鏡で取りきれない場合があります。そのようなときは、開腹手術や腹腔鏡手術によって、がんのある部分とその周辺のリンパ節を一緒に切除します。腹腔鏡手術は小さな傷で済むため、回復が比較的早いという利点があります。
早期発見のメリット
早期に見つかった場合、転移の可能性が低いため、手術後に追加の治療が不要となるケースも少なくありません。ただし、切除したがんの組織を詳しく調べた結果、リスクが高いと判断された場合には、再発予防のために補助的な治療が提案されることもあります。
進行期ステージの治療とその流れ
ステージⅡの治療方針
ステージⅡでは、がんが大腸の壁を深く進んでいるものの、リンパ節への転移は確認されていない状態です。手術でがんを取り除いた後、再発リスクが高いと判断された場合には、抗がん剤による補助化学療法が行われます。この治療は、目に見えないがん細胞が残っている可能性に備えるもので、再発の予防を目的としています。
ステージⅢの治療方針
ステージⅢになると、リンパ節にもがんが広がっているため、手術後の薬物療法がより重要な役割を果たします。使用される薬剤は複数の種類があり、患者様の体調や副作用の出方を見ながら調整されていきます。
薬物療法(抗がん剤)について
薬物療法には、点滴で行う方法と内服薬を使う方法があり、通院しながら継続するケースが一般的です。治療期間は半年程度が目安となることが多く、途中で体調を確認しながら進められるため、無理のないペースで取り組むことが大切になります。
術前治療が選ばれる場合
がんの位置によっては、手術前に放射線療法や化学療法を行い、がんを小さくしてから切除する方法が選ばれることもあります。治療の順序や組み合わせは、がんの状態や患者様の希望に応じて柔軟に調整されます。
転移がある場合の治療の考え方
ステージⅣは肝臓や肺などへの転移がある段階で、治療の中心は進行を抑えながら体調を維持することです。転移した部位を含めて切除できる場合は、手術が選択肢になります。大腸のがんと転移巣を両方とも取り除ける状態であれば、位置や大きさを踏まえて手術の順番や方法が決められます。
手術が難しい場合は薬物療法が中心です。抗がん剤に分子標的薬を組み合わせる方法が用いられ、がんの進行を抑えることが期待できます。症状の種類によっては、放射線療法で痛みや出血を軽くする治療が行われることもあります。
近年は新しい薬や治療の登場で選択肢が広がっており、一人ひとりの体調や生活に合わせた継続しやすい治療計画が検討されます。
まとめ|治療は段階に応じて選ばれる
大腸がんの治療は、ステージに応じて内視鏡治療・手術・薬物療法・放射線療法を組み合わせて進められます。早期であれば内視鏡や手術のみで対応できることもあり、進行した段階では薬物療法を中心に、体調を保ちながら進行を抑える治療が選ばれます。
どの段階でも大切なのは、がんの制御だけでなく、日常生活を少しでも安心して過ごせる状態を整えることです。治療の選択肢が多いほど迷いが生まれやすいものですが、疑問を一つずつ確認していくことで、自分に合った治療を見つけやすくなります。
体調の変化や不安があるときは、早めに相談することが選択肢を広げるきっかけになります。判断に迷った際は、どうぞ当院へご相談ください。
