お腹の調子が悪い日が続き、下痢や血便が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こる病気で、症状が長引くこともあります。
この記事では、潰瘍性大腸炎の原因や特徴的な症状、検査・治療の流れについて解説します。早めに体のサインに気づき、適切な対応をとることで、日常生活の質を保つことにつながります。不安を感じている方にとって、少しでも安心の材料になれば幸いです。
潰瘍性大腸炎とはどのような病気か
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症やただれ(潰瘍)ができる病気です。炎症は主に直腸から始まり、次第に奥へと連続して広がっていく特徴があります。良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、長い期間付き合っていく必要がある場合も少なくありません。
原因は完全には解明されていませんが、国の指定難病に認定されており、一定の条件を満たせば医療費助成の対象となります。発症しやすい年齢は20代から30代の若い世代に多くみられますが、中高年になってから発症する方もいらっしゃいます。男女差はほとんどなく、どなたにも起こりうる病気といえます。
主な症状と日常生活への影響
潰瘍性大腸炎では、下痢・血便・腹痛がよく見られます。腸の粘膜が炎症で傷つくため便に血や粘液が混じることがあり、頻回の下痢によって外出が不安になる方もいます。腹痛は左側に強く出ることが多く、炎症が続くと微熱や倦怠感、体重減少がみられる場合もあります。
症状には波があり、調子の良い時期(寛解期)と悪い時期(活動期)を繰り返すのが特徴です。寛解期には症状がほとんど消え、普段通りの生活を送れます。
潰瘍性大腸炎の病型分類
潰瘍性大腸炎は、炎症が及ぶ範囲によって3つのタイプに分けられます。直腸炎型は直腸のみに炎症があるタイプで、比較的症状が軽くみられることが多い形です。左側大腸炎型は直腸から大腸左側の脾彎曲部まで炎症が広がるもので、腹痛や下痢が左側に目立ちます。全大腸炎型は大腸全体に炎症が及ぶタイプで、下痢の回数が増えるなど症状が強く出やすい傾向があります。
炎症の範囲は治療内容を決めるための大切な情報になるため、定期的に検査で状態を確認していくことが必要です。
検査と診断の進め方
潰瘍性大腸炎の診断では、症状の経過や便の状態、腹痛の場所などを丁寧に確認したうえで、血液検査で炎症の強さや貧血の有無を調べます。
確定診断に最も重要なのが大腸内視鏡検査で、粘膜の赤み・ただれ・出血の状況を直接観察し、必要に応じて組織を採取して詳しく確認します。検査前には腸をきれいにするための下剤を服用しますが、負担の少ないタイプも増えています。
炎症の範囲をより詳しく把握する必要がある場合には、CTやMRIなどの画像検査を組み合わせて診断します。
治療の流れと注意点
潰瘍性大腸炎の治療は、炎症を抑えて症状のない状態(寛解)を保つことを目的に進められます。基本となるのは飲み薬や注腸薬で、炎症を抑える薬や免疫の働きを調整する薬を症状に合わせて使用します。
症状が強い活動期には、早期に炎症を鎮める治療が行われ、落ち着いた寛解期には再発を防ぐために薬を継続することがあります。自己判断で薬を中止すると再燃の原因になるため、治療方針は医師と共有しながら進めることが大切です。
体調管理として軽い運動は役立ちますが、無理な運動は負担になることがあります。散歩やストレッチなど続けやすい範囲を選ぶとよいでしょう。症状が安定している時期でも定期的に通院し、状態を確認しながら過ごすことが再発予防につながります。
患者数と発症年齢の傾向
日本では、この40年間で潰瘍性大腸炎の患者数が大きく増え、2024年度の医療受給者証交付者は約14万6千人に達しています。診断技術の進歩や生活習慣の変化が増加の背景と考えられています。
発症は10代後半から30代に多く、特に20代での発症が目立ちます。小児や中高年でみられることもあり、幅広い年代に起こり得る病気です。
若い世代での発症が多いため、学業・仕事・出産など人生の節目と重なることがありますが、治療と管理によって通常の生活を続けることは十分に可能です。
食事・生活習慣での工夫
潰瘍性大腸炎には「これを食べれば治る」という決まった食事はありませんが、活動期には腸への刺激を減らすことが大切です。食物繊維の多い根菜やキノコ、脂っこい料理、辛味の強い食品、アルコールは症状を悪化させることがあるため控えめにしましょう。
おかゆ・うどん・白身魚・豆腐・卵など消化の良い食品を中心に、よく噛んで食べると負担を軽減できます。症状が落ち着く寛解期には、過度な制限は必要なく、栄養バランスを意識した食事が体力維持に役立ちます。
ストレスや睡眠不足も悪化のきっかけになるため、十分な休息と生活リズムの調整を心がけることが大切です。
まとめ|不安を感じたら早めの相談を
潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が起こり、下痢・血便・腹痛などの症状が現れる病気です。原因は完全には解明されていませんが、体質や環境、生活習慣などが複雑に関係していると考えられています。
お腹の不調が続いたり、便に血が混じったりする症状に気づいたときは、体が発している大切なサインかもしれません。一人で悩まず、早めに専門家に相談すると安心につながります。判断に迷うときは、当院へご相談ください。
